不正行為や能力不足の従業員との退職和解を成立させ復職を阻止した事案

相談前

会社は作業員として従業員1名を雇用しました。しかし、この従業員は、ほかの従業員が1時間で終わる作業を1週間かけて行うなど能力不足が顕著な従業員でした(ただし、このことを裏付ける証拠はありませんでした。)。 ・さらに、この従業員は、通勤費を半年以上にわたり不正受給していました。具体的には、本来使っていなかった通勤手段での通勤を申告し、交通費相当額を受け取っていたものです。 ・このため、会社は従業員を解雇しました。

・そうしたところ、従業員側は、解雇は無効であるから復職させるように求める労働審判を提起しました。また、その中で、従業員側は、会社が行った改善指導がパワハラである等と主張しました。

弁護士の対応

会社の代理人として労働審判に対応しました。

①ヒアリングと証拠収集

従業員からパワハラを受けてきたとの主張が出ていました。このため、従業員の作業がいかに遅かったのか、聞き取りを行うとともに、裁判官にイメージを持ってもらうために写真等を活用しながら主張立証の戦略を立てました。

併せて、不正受給の行為態様や相手方の言い分を排斥するためのヒアリングを徹底しました。

②主張書面の作成

写真等も活用しながら、作業の効率が極めて悪いことや、通勤費の不正受給の悪質性を50頁以上の書面で丁寧に主張立証しました。このような書面を1か月程度で作成しました。

③想定問答等の対応

労働審判期日には、証人尋問のように、裁判所から会社側担当者への質問が行われます。このため、この質問に備えた想定問答を作成して期日に臨みました。

結果

 

裁判所に会社がパワハラをしていないと判断してもらうことができました。その上で、最終的に不正受給の精算も含めた退職和解を成立させました。

弁護士からのコメント

本件は不正受給の証拠が乏しく解雇が無効になるリスクも相応にあった事案です。しかし、不正受給に関する具体的な主張を行ったりパワハラを否定する主張を丁寧に行ったりすることで、裁判官に、当方の言い分を理解してもらい、それを踏まえた和解ができました。

 

労働問題に詳しい弁護士が関与することで、不利な事案でも最大限の主張を行い、できる限り有利な解決を実現できる具体例と言えます。